【費用節約・期間短縮】土地区画整理事業と「換地」の仕組みを徹底解説!農地転用はこのタイミングが最適な理由とは?
「土地区画整理」という言葉を耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。
身近な地域にも、「土地区画整理事務所」が建てられ、工事をしている場所もあるかもしれません。
でも、この「土地区画整理事業」というものは、いったい何のために行うのでしょうか。
また、その事業に伴って行われる「換地(かんち)」とは、どのようなもので、その土地に暮らす方にどのような影響があるのでしょうか。
この記事では、知っているようで知らない「土地区画整理事業」について説明するとともに、「換地」の仕組みを分かりやすくお伝えします。
さらに、土地区画整理事業のタイミングで行う「農地転用」のメリットについても、併せて詳しく解説します。
土地区画整理事業とは?
土地区画整理事業とは、その土地の区域を、より住みやすい・利用しやすい土地の区域に作り変える事業のことです。
主に都市計画区域内の土地について行われます。
事業が必要となる背景
無秩序に市街化や宅地化が進むと、以下のような問題が生じがちです。
- 道路・公共施設の不備: 狭く曲がりくねった道や、公園・学校などの公共施設が遠く利用しにくい。
- 土地の利用効率の低下: 使いにくい形の土地や、道路に接しない「袋地」などが生じる。
こうした問題を解決し、防災性の向上や良好な市街地の形成を目標として、土地の整備を行います。
この事業は、原則として、地域住民の方々がいままでの土地に住み続け、コミュニティを維持できるように考慮され、時間をかけて徐々に進行していきます。
土地区画整理事業の進め方:「減歩」と「換地」
土地計画整理事業は、「減歩(げんぶ)」と「換地(かんち)」という重要な手法によって進められます。
1. 減歩とは
定義: 施工地区内の土地所有者が、一定の割合(減歩率)で土地を無償提供すること。
目的: 減歩によって生み出された土地は、道路や公園、広場等の公共施設の用地や、事業費用に充てるための保留地に充てられます。
価値の維持: 各所有者の所有土地の面積は減りますが、事業によって土地そのものの利便性や価値が増加するため、減歩をしても所有する土地の価値は維持されるか、上回るように計画されます。
2. 換地とは
定義: 減歩によって公共用地等が確保された後、従前の土地に代わる新しい宅地(道路の位置変更などを反映した後の土地)を、所有者に再配置・交付すること。また、その移動後の土地自体を指します。
目的: 土地の区画・形状・位置を整え、利用しやすいように土地の再配置を行うことです。
「換地」の具体的な進め方と効果
土地の所有者にとって最も関わりの大きい「換地」について、具体的な流れと効果を見ていきましょう。
「換地処分」までの流れ
① 仮換地の指定
内容: 施工者が、換地を行う対象の土地(従前の土地)の、換地先の土地(仮の宅地)を指定すること。
効力: 仮換地が指定されると、指定された日から、従前の土地の使用・収益を停止し、仮換地を使用・収益できるようになります。
清算金: 対象の土地について換地を定めない場合(不換地)は、その土地の使用・収益を停止させ、換地の代わりに清算金が支給されます。
② 換地処分
内容: 土地区画整理事業の工事完了後に、換地計画の決定内容を確定させる行政処分です。
手続: 施工者は遅滞なく換地処分を行い、その旨を都道府県知事に届け出ます。知事による換地処分の公告をもって効力が発生します。
換地処分の効果(権利関係の移転と登記)
権利の移転: 換地処分の公告があった翌日から、従前の宅地上の権利(所有権、地上権、賃借権など)は換地上にそのまま移転します。この翌日以降、換地は「従前の土地」とみなされます。
権利の消滅と清算: 換地を定めなかった場合(不換地)は、公告があった日に従前の宅地にある権利は消滅し、清算金によって精算されます。
換地に伴う登記: 換地処分に伴い、土地の面積や地目、地番に変更が生じるため、施工者が一括して登記(換地登記)を申請または嘱託します。この施工者による登記が完了するまでは、原則として他の登記(売買、抵当権の設定など)は制限されます(登記簿の閉鎖)。
土地区画整理事業のタイミングで農地転用すると費用節約に繋がる理由
土地区画整理事業区域内に農地を持っていて、宅地への転用を考えている場合、換地処分前に農地転用の届出・許可を得ることを強くおすすめします。
その理由は、主に二つあります。
おすすめの理由①:地目変更登記の費用を節約できる!
通常の場合: 農地転用後、土地の地目を「農地」から「宅地」などに変更するための地目変更登記が必要となり、専門家(土地家屋調査士など)に依頼すると数万円の費用がかかります。
換地処分前の場合: 換地処分前に農地転用の許可を得ておくと、その後の地目変更登記は換地処分の段階で施工者が一括して行うことになります。
結果: ご自身で専門家に依頼する手間と費用を節約できる可能性が高くなります。
おすすめの理由②:登記簿閉鎖による建築計画の遅延を防げる!
登記簿の閉鎖: 換地処分が行われ、施工者による換地登記の申請・嘱託が始まると、登記簿が数か月間閉鎖されてしまいます。
影響: この閉鎖期間中は、新たな登記(例:建物を建てるための融資の抵当権設定登記、新しい地目での所有権移転登記など)が原則としてできません。
結果: 宅地として利用したいのに、この期間に登記ができず、建築計画や資金調達に遅れが出てしまうリスクがあります。
換地処分前に農地転用の手続を済ませておくことで、これらのリスクを回避し、スムーズに宅地利用へ移行できるという大きなメリットがあるのです。
まとめと無料相談のご案内
土地区画整理事業は、地域の未来をより豊かにするための重要な事業であり、その中心となるのが「減歩」と「換地」の仕組みです。
特に、事業区域内に農地をお持ちの方は、換地処分前のタイミングで農地転用の手続を済ませることで、費用の節約と計画の遅延防止という大きなメリットを享受できます。
農地転用の手続きは、自治体への申請や農業委員会との調整が必要であり、ご自身で行うには複雑な部分も多いです。
「自分の土地が事業区域内か知りたい」
「農地転用の手続きを最適なタイミングで行いたい」
そういったご相談は、ぜひ当事務所にご連絡ください!

