育成就労制度の転籍ルールを徹底解説|企業が知るべき条件・義務・人材流出を防ぐ対策
この記事は、外国人雇用・在留手続を専門とする行政書士が監修しています。
しのび行政書士事務所では、外国人雇用に関する在留資格手続、制度対応、企業様の体制整備支援など、実務に基づいたサポートを行っています。
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育成就労制度では、これまでの技能実習制度と異なり、外国人本人の意向による転籍(転職)が制度上認められる方向で制度設計が進められています。
そんな中で企業様が特に不安に感じられるのは、以下の点です:
- 育てた人材が他社に移ってしまうのでは?
- 転籍を止めることはできないのか?
- 企業側はどこまで対応義務があるのか?
しかし、育成就労制度の転籍は 「自由な転職制度」ではありません。制度趣旨と要件を正しく理解すれば、企業が不利になる仕組みではなく、管理体制の整った企業ほど評価される制度設計であることが分かります。
本記事では、育成就労制度における転籍の基本的な考え方、外国人本人・企業双方の要件、企業が取るべき実務対応を解説します。
※育成就労制度全体の仕組みや技能実習制度との違いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
この記事の信頼性について(公式情報の確認)
育成就労制度は現在、法令整備・運用方針策定段階にあります。制度の最新情報は、出入国在留管理庁の公表資料をご確認ください。
▶ 公式情報:育成就労制度 | 出入国在留管理庁
※制度の詳細は今後の政省令・運用方針等により変更される可能性があります。本記事は現時点で公表されている審議資料・基本方針等に基づき整理しています。
この記事で分かること
- 育成就労制度 転籍ルール
- 育成就労 転職 条件
- 企業側の義務
- 転籍を止められるのか
- 人材流出対策
- 監査で見られるポイント
① なぜ育成就労制度では転籍が認められるのか
技能実習制度では原則転職不可でしたが、次の問題が指摘されてきました:
- 不適切な労働環境から離れられない
- 労働問題の潜在化
- 実習生の失踪
育成就労制度ではこれを踏まえ、「人材育成」+「労働者保護」を制度目的に明示。転籍制度は単なる自由化ではなく、不適正環境から離脱できる仕組みを制度に組み込むための設計です。
つまり「企業に不利」ではなく、適正企業が評価される制度へ転換しています。
② 転籍は「自由な転職」ではない
外国人労働者側の想定要件
- 一定期間の就労実績(同一の受入れ機関において、1年〜2年の範囲内で分野ごとに設定される期間。当面は1年とする分野が多い見込み)
- (技能実習からの移行者などで)育成就労期間が3年を超えて延長されていない
- 一定水準以上の技能(技能検定基礎級または技能評価試験初級の合格)
- 一定水準以上の日本語能力
- 転籍範囲の限定(同一の業務区分内での移動に限る)
- 分野別運用方針で定める追加要件
企業側の要件
- 適正な育成体制
- 労務管理の適正
- 受入人数割合基準
- 不適正企業に該当しないこと
「どこへでも移れる」のではなく、適正な企業間での移動が想定されている点が重要です。
「育て損」を防ぐ仕組み
転籍時には、前企業の初期費用の一部を転籍先が分担する制度設計が検討されています(詳細は今後の省令・運用方針で明確化予定)。企業の教育投資が無駄にならないよう配慮がされています。
転籍は公的ルート中心
本人意向転籍は、ハローワーク・監理支援機関など公的機関経由の仕組みが前提となる方向です。
③ 企業は転籍を拒否できるのか
企業様が最も気になるのがこの点ですが、制度趣旨上、本人意思は尊重される方向で設計されています。リスクが高い対応例:
- 不当な引き止め
- 違約金の設定
- パスポート・在留カードの管理
- 転籍希望の相談を受け付けない対応
育成就労制度では、転籍希望時の対応履歴が重要になる可能性があり、「どのように説明し、どのような対応をしたか」という記録が後の監査で確認対象となることも想定されます。
④ 企業が不利になるのは「転籍」ではなく「管理不備」
転籍そのものよりも問題となるのは、管理体制の不備です。以下の状態はリスクが高まります:
- 労働条件の説明記録がない
- 教育計画が形式的
- 日本語支援の実態がない
- 面談記録がない
- 相談体制が整備されていない
これらは転籍の場面に限らず、企業の適正性評価そのものに影響する要素です。
👉 関連:監査で不適正とされる企業の特徴
⑤ 人材流出を防ぐ実務対策
制度上、要件を満たした転籍を無理に止めることは難しいですが、「残りたい企業」になることで対策が可能です。具体策:
- 育成計画の明確化
- 定期面談の実施と記録
- 日本語学習支援
- キャリアパスの提示
- 相談窓口の整備
制度への適正対応は、そのまま外国人材の定着施策につながります。
👉 関連:管理体制整備の具体策
⑥ 監査で見られるポイント
- 転籍相談時の対応記録
- 本人意思確認記録
- 不当制限の有無
- 労働条件説明履歴
- 教育実施記録
⑦ まとめ
- 企業に不利な制度ではない
- 適正管理企業が評価される
- 記録整備が最大の防御策
- 定着施策=制度対応
育成就労制度の全体像や、企業が制度開始前に整備すべき体制については、以下の記事で体系的に解説しています。
▶ 育成就労制度の基本解説と企業実務対応
よくある質問(FAQ)
Q. 転籍は自由になりますか?
A. 無制限ではなく、技能・日本語能力・就労期間等の条件があります。
Q. 企業は拒否できますか?
A. 不当な制限はリスクが高く、本人意思は尊重される方向です。
Q. 人材流出を防ぐ方法は?
A. 育成計画、面談記録、日本語支援、キャリア設計が有効です。
監修・執筆
しのび行政書士事務所 行政書士 渡邊晴美
外国人雇用制度・育成就労制度のコンプライアンス分野を専門とする。トヨタグループ企業人事部門・法律事務所勤務経験を有し、企業実務と法制度双方の視点から制度解説を行っている。
育成就労制度の体制整備でお悩みの企業様へ
制度上のルールを理解したうえで、実際の管理状況がその内容に沿っているかの確認が重要になります。
現在検討されている「育成就労制度」は、これまでの技能実習制度とは大きく異なる運用・管理の観点が求められる可能性があります。制度が具体化する前に、
👉 「今の管理体制が将来の制度に対応できるか」
👉 「どの部分が強みで、どこに改善の余地があるか」
を客観的に確認することは、実際の運用負担を軽くし、将来の手続きや監査で慌てないための最も有効な準備です。
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🔍 現状確認チェックで分かること
- 現在の管理体制で制度移行にそのまま対応できる部分
- 将来の制度や監査を見据えて整えておいた方がよいポイント
- 優先順位をつけて無理なく進めるための改善の方向性
※ 現状確認相談は状況把握を目的としたもので、無理なご提案や契約の前提はありませんのでご安心ください。

