【離婚できる?ビザはどうなる?】配偶者ビザのフィリピン人が日本人と離婚する場合の手続きについて解説
こんにちは、愛知県豊田市でビザ申請サポートをしている、行政書士の渡邊晴美です。
法律に離婚という概念がないフィリピンでは、通常の場合結婚すると離婚することは出来ません。
しかし、日本で暮らす日本人の配偶者ビザのフィリピン人は、日本の法律が適用され、離婚をすることが出来ます。
この記事では、日本在住・日本人と結婚したフィリピン人の、日本での離婚手続き、フィリピン側の承認手続き、ビザの変更などについて、丁寧に解説します。
< この記事で分かること >
・日本での離婚手続きの流れ
・フィリピン側の承認手続きの流れ
・子供がいる場合の、親権や養育費の決め方
・ビザの変更
・離婚後に受けられる生活支援
【配偶者ビザのフィリピン人】日本での離婚手続きの流れ
日本では、離婚をする方法が大きく3つに分けられます。
ご自身の状況に合わせて選択しましょう。
1.話し合いで合意を得て離婚(協議離婚)
夫婦で話し合い、離婚することや離婚の条件に合意したら離婚届を市区町村役場に提出します。
- 必要書類:離婚届、本人確認書類、印鑑など
2.話し合いがまとまらない場合の調停離婚
夫婦での話し合いで離婚が合意できない場合に、管轄の家庭裁判所に申し立てて行います。
その際、弁護士へ代理人として依頼する場合が多いですが、費用の関係で難しいようであれば、調停の申し立ては必要書類を揃えて手数料を支払えば本人でも行うことが出来ます。
または、法テラスや市民無料相談などへまずは相談するのも良いでしょう。
- 必要書類:離婚調停申立書(裁判所のホームページに書式あり)、戸籍謄本、所定の郵券、所定の手数料(収入印紙)など
申し立てをする裁判所はお住まいの地域によって決まっています。
例えばお住まいが愛知県豊田市の場合は、名古屋家庭裁判所岡崎支部が管轄です。
申立書が受理されると、調停期日が設けられ、調停委員を交えて話し合いを行います。
裁判所にもよりますが、大体一か月に一回の話し合いを続け、合意に至ればその内容をまとめた調停調書が作成されます。
その調停調書謄本と離婚届を持って、調停成立から10日以内に市区町村役場で手続きを行います。
別居中の場合は婚姻費用の請求も考える
別居をして離婚についての協議や調停をすすめている場合は、生活費もきちんともらうことが出来ます。
婚姻費用と呼ばれるものです。
お互いの収入や子供の養育状況等を照らし合わせて、婚姻費用を充分もらっていないときは、調停で適正な金額を求めることが出来ますが、離婚調停とは別に婚姻費用分担請求調停を申立てる必要があります。
3.調停でも合意できない場合の裁判離婚
協議、調停でも離婚が合意できない場合に裁判で離婚をする場合があります。
訴訟提起する前に、離婚調停が不成立で終わっている必要があります。
離婚訴訟を考える場合は、弁護士へ相談した方が良いでしょう。
訴訟提起すると、裁判所の判決で離婚が成立します。
子供がいる場合の親権や養育費の決め方
親権や養育費については、話し合いや調停の中で決めることが出来ます。
もし親権が相手方になった場合には、面会交流についても取り決めをしましょう。
思ったように話し合いが進まない場合は、面会交流調停を申立てることもできます。
また親権を得て養育費をもらう側になった場合に、離婚後事情が変わり養育費を増額してもらいたい時は、養育費増額調停を申立てることが出来ます。
(申立てても、増額する根拠や理由が無ければ増額認められません)
ただし反対に、相手方が再婚したなどで、養育費減額調停を申立てられることもあります。
親権、養育に関する取り決めは「子供の国籍」に注意
離婚後の子供の親権には、どちらか一方が親権を得る「単独親権」と、父と母両方を親権者とする「共同親権」があります。
日本の法律では単独親権が認められていますが、世界には共同親権が採用されている国もあります。
そして国際離婚の場合、子供の親権の決め方は、子供の国籍がある国の法律に従います。
フィリピンは共同親権が採用されているので、フィリピン人と日本人の国際離婚の場合は、子供の国籍がフィリピンか日本かによって、どちらの国の法律に従うかが決められます。
養育に関する取り決めも同様に子供の国籍によって従う法律が異なります。
フィリピン側での「リコグニッション(承認)」手続き
フィリピンでは離婚が認められていないため、日本で成立した離婚をフィリピンの裁判所で承認してもらう必要があります。
この手続きをしないと、フィリピン法上は婚姻関係が続いているとみなされます。
後の再婚の際に差支えになりますので注意が必要です。
【日本人と離婚したフィリピン人】ビザ変更に関するルール
日本人の配偶者ビザは、離婚をすると6カ月以内に他のビザへ変更しなければ、日本に在留し続けることは出来ません。
どの種類のビザへ変更するかは、今後の日本滞在目的によって異なります。
一般的には、定住者ビザ、就労ビザを選択することが多いでしょう。
離婚した場合のビザ変更については、以下のページでより詳しく説明しています。
【離婚・死別したら】配偶者ビザの外国人が日本で住み続けるための手続きについて
ビザ変更前に必要な手続き
どのビザに変更するにしても、離婚後14日以内に入管へ「配偶者に関する届出」を行わなければなりません。
届出を怠れば罰則の対象となり、後のビザ変更申請にも悪影響です。
離婚後日本に在留する場合に外国人が受けられる支援
国際離婚した後、日本に在留することを選んだ場合、生活を始めるために様々なサポートを受けることが出来ます。
どんなサポートがあるかを知るために便利なのは、出入国在留管理庁の「外国人生活支援ポータルサイト」です。
生活や就労に関する日本のルールやサポートが、様々な国の言語で説明されています。
特に子供を養育する場合は、子育てのための支援制度を必ず確認するようにしてください。
児童扶養手当や母子家庭支援などがありますし、子供の発達に心配事がある場合の支援もあります。
外国人生活支援ポータルサイト(出入国在留管理庁の該当ページへリンクしています)
まとめ:日本人とフィリピン人の離婚は母国での手続きやビザ変更、支援活用などをお忘れなく
母国で離婚が認められないフィリピン人も、日本人配偶者とは日本の法律に従い離婚が可能です。
離婚の際は日本、フィリピン両国での手続きを行ってください。
離婚後は入管への届出、ビザ変更などすべきことがたくさんあります。
大変な時期ですが、問題が無いよう適切に対応しましょう。
離婚後のビザ手続きでお悩みの場合、ご相談ください。
先にも書いたように、離婚後はすべきことがたくさんあります。
日本での新たな暮らしを順調にスタートするためにも、お悩みのことがあればぜひ当事務所へご相談ください。
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< その他参考ページ >
別居や離婚調停がビザ更新へ与える影響などについて説明しています。
【離婚したらどうなる?】配偶者ビザの外国人が別居・離婚調停する時に注意すること